【解説】ビームシェイパー光学系 beam shaper

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1.ビームシェイパーとは

 主に高出力レーザー切断、レーザー溶接、レーザー焼入れ(アニール)などの加工用途向けに、適切なビームプロファイルに整形することで、加工効率や加工品質を向上させる試みが進められています。ビームシェイパー(ビーム整形光学系)は、既存のレーザー加工機の光学系に搭載することによって希望のビームプロファイルへの変換を可能にします。
 ビームの変換と一言で言ってもいくつかの解釈があります。ひとつめは形状、つまりカタチの変換です。丸い円形のビームを、四角形(矩形)や、リング形状、ライン形状への変換したり、また1本のビームを2本3本に分岐させたり、といったことができます。
 ふたつめは強度分布=モードの変換です。おなじ丸形でも、中心部にエネルギーが集中している分布(ガウシアン分布)から、均一分布(フラットトップ分布)や、中心が弱く外周が強いリングモードなどいろいろなモードへの変換をおこないます。
 これらビーム形状と、ビームモードとを変換することによって、多種多様なビームプロファイルを創り出すことが可能となります。またズーム光学系と組み合わせることで、プロファイルを変換しつつスポット径を拡大~縮小させるといったことも可能です。

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2.ビームシェイパーのメリット

 ビームのプロファイルを自由に操ることによって得られるメリットにはさまざまなものがあります。特にkWクラスの高出力レーザー用途の場合、ひとつの装置内で上げることができる出力には上限があり、また高出力発振器の購入には大きな投資が必要となります。そのため既存の設備装置へ装着することで加工能力を向上させることができるビームシェイパーは大きなコストメリットにつながります。
 ビームシェイパーが加工結果にもたらす影響は、今現在も多方面から研究が進められています。たとえばレーザー板金切断における切削能力の向上や、レーザー溶接時の飛散スパッタの低減、またビームを分岐させることで生産効率を向上させる、などといった様々な応用が考えらています。

  • レーザー加工の加工効率UP
     切断能力向上、飛散スパッタの低減など効果は様々

 

3.ビームシェイパーの種類

 ビームを整形する方法にはいくつかの形式があります。現在高出力レーザ加工分野で主流となっているファイバーレーザを例に挙げます。ひとつは出力ファイバーの構造自体に手を加える方法。ファイバーコアを二重、三重構造にして各々の出力を独立制御することでビームモードを変化させます。あらたな光学系を追加することなく置き換えが可能ですが、設備費用は高めです。
 つぎに加工ヘッド側に素子を付加する方法で、代表的なものにDOE(Diffractive Optical Element:回折光学素子)があります。DOEは光学面状に非常に微細なパターンを形成した光学素子で、設計を変えることにより自由度の高いビーム整形が可能です。ただ素子の特性上透過効率がやや低く、特に高出力用途においては不利にはたらくことがあります。またモールド(型押し)による加工が多く、新規立ち上げや設計変更の際にイニシャル費が必要になる場合があります。
 夏目光学がご提案するのはおなじく光学素子を用いる方法ですが、異なるのは透過型の光学素子、つまりレンズを用いるという点が特徴です。

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4.夏目光学のビームシェイパー

 夏目光学では長年にわたり半導体製造装置をはじめとする極紫外域向けの素子を製造して参りました。光学素子に求められる品質、精度はその使用波長に比例します。赤外領域のCO2レーザ(10.6um)やYAGレーザ(1064nm)、ファイバーレーザ(1070nm)に比べて、紫外領域のエキシマレーザ:ArF(193nm)、KrF(248nm)や、UV-YAG(266nm)用などの素子は、面粗度や表面欠陥といった精度規格がきわめて厳しく規定されています。ここで培われた夏目光学の研削研磨技術によって製造されたビームシェイパーは、高い透過効率、レーザ耐性を誇ります。

 実際にはご希望のプロファイルのほか、使用される光源の条件などによっても設計条件が異なるため、カタログ品などの扱いはなく完全受注生産(専用設計)となります。レンズ専業メーカーならではのユニークな設計ノウハウを駆使して皆さまのご要望にお応えします。

 ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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